志望動機に書きたい内容は思い浮かんでいても、文章としてうまくまとめるのは難しいものです。
無計画に書き始めると行き詰まる可能性があるほか、企業側に意図が伝わりにくくなる場合もあります。
まずは適切な志望動機の作り方を理解したうえで、構成を組み立てましょう。
本記事では、志望動機の作り方を事前準備編と実践編に分けて解説します。
自分の思いを的確に言語化して、魅力的な志望動機を作成してみてください。
目次
志望動機の作り方【事前準備編】
魅力的な志望動機の作り方として、欠かせない最初のステップに事前準備があります。
5つの工程に沿って準備を進め、完成度が高い志望動機のための土台を作りましょう。
1. 自己分析を行う
自己分析は、志望動機の作成に取りかかる前に行うべき大切な作業といえます。
これまでの職務経験やスキルを棚卸しして、自分についてより深く知りましょう。
自己分析の手法はいくつかありますが、代表的なものが「自分史」を作成する方法です。
自分史の作り方は、主に以下のとおりです。
- 過去を振り返り、経験や実績を時系列に沿ってまとめた自分史を作る
- 自分史のなかからエピソードを深掘りする
- エピソードから共通点を見つけ、自分の強みや価値観を分析する
志望動機では、企業を志望する理由のほか入社後の目標を説明する必要があります。
分析結果から自分が何に対して熱意を持って取り組めるか、どのように企業に貢献できるかを明らかにしましょう。
そうすることで、入社後の目標設定をスムーズに行えます。
2. 企業研究・業界研究を行う
自己分析を終えたら、企業研究や業界研究に進みましょう。
企業は求職者とのマッチ度を重視しています。
このため志望動機では、企業にマッチした人物であることや、自分を採用するとどのようなメリットがあるかを伝えなければなりません。
企業が求める人材を把握するために有効なのが、企業研究・業界研究です。
例えば入社後に役立つ能力やスキルがあれば、アピールポイントとして志望動機に記載できるでしょう。
企業研究や業界研究の方法には、企業のホームページを確認する、会社説明会やインターンシップに参加する、OB・OG訪問するなどの方法があります。
3. その企業でなくてはならない理由を洗い出す
企業研究や業界研究により志望する企業を把握していく過程で、他でもないその企業でなくてはならない理由を明確にしていきましょう。
志望するきっかけは「業界トップだから」「給料が良いから」などでも構いません。
とはいえ、これらをストレートに伝えるだけだと説得力に欠けます。
大切なのは、同業他社ではなくその企業だからこその魅力を説明し、面接官に強い入社意欲をアピールすることです。
よって、なぜ魅力的なのかを自分の経験や考え方と絡めて説明できる状態にしておきましょう。
理由付けがきちんとできていると、志望動機や自己PRの軸が定まり、より説得力の高い主張ができるようになります。
4. 入社後にどう活躍したいかを考える
志望動機では、入社後の自分がどう活躍できるかの展望を伝えることも重要です。
入社後のイメージが具体的だと、責任感や成長意欲の高さをアピールでき、企業に好印象を与えられます。
会社の制度や福利厚生をふまえて、将来的に目標を実現できる環境が用意されているとアピールするのも良いでしょう。
ただし、特定の事業だけにこだわっていると思われるような内容は避けるのがベターです。
さまざまな事業を展開している企業では、人事異動の機会もあります。
志望理由として挙げた特定の事業以外に配属された場合、モチベーションの低下が懸念されるでしょう。
結果、扱いにくい人材ととらえられてしまう可能性もあるため要注意です。
5. PREP法をマスターして結論から話す
志望動機を書く際は、最初に結論を述べるPREP法を活用しましょう。
PREP法とは、次の頭文字をとった文章構成のテクニックです。
- Point:結論
- Reason:根拠
- Example:具体例やエピソード
- Point:結論
はじめに結論を述べて、その次に結論に至った根拠を説明し、根拠を支える具体例を提示したうえで再び結論を述べます。
PREP法を用いると、志望動機の要点をスムーズに伝えられるだけでなく、論理的思考力のアピールにもつながるでしょう。
反対に、結論を後ろに持っていくほど要点がぼやけた文章になってしまいます。
志望動機の作り方【実践編】
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事前準備ができたら、いよいよ志望動機の執筆に取りかかりましょう。
うまく文章がまとまらないときには、盛り込みたい情報を適切な順番に並べてみるのがおすすめです。
ここからは、志望動機の実践的な作り方を紹介します。
志望動機の構成
志望動機にどれだけ熱意を込めても、誤った文章構成で書き進めてしまうと意図が伝わりにくく、説得力に欠ける可能性もあります。
上記でも触れたとおり、志望動機の構成にはPREP法を活用しましょう。
- 結論にあたる志望動機を述べる
- その企業を志望する理由を挙げる
- 具体的なエピソードの提示
- 意欲や入社後のビジョンを伝える
文字数制限があって書ける内容が限られる場合、具体例やエピソード部分をより簡潔にまとめるか、省略して対応します。
志望動機の構成についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。
志望動機の例文
志望動機の書き出しは、大きく以下2つのパターンが考えられます。
【志望した理由から書き始める】
- 「貴社を志望する理由は〇〇だからです」
- 「私は〇〇をするために、貴社を志望しました」
【魅力を感じた部分から書き始める】
- 「私は貴社の〇〇に魅力を感じております」
このように結論をまず伝えたら、適切な構成に沿って志望動機をまとめましょう。
例文を一つ紹介します。
幼い頃の私は体が弱く、入院の経験もありましたが、看護師をはじめとする多くのスタッフの方々に支えられた日々は今でも印象に残っています。
成長するにつれ、今度は自らが医療に携わる仕事がしたいと思い、看護師をめざすようになりました。
貴院は小児科診療において厚い信頼を集めており、さまざまな年代や症状のお子さまが来院されるかと存じます。
そのような環境に身を置くことで、医療知識や技術はもちろんのこと、子どもの発達に合わせた心のケアについても深く学べると感じました。
私はもともと子どもと接することが好きで、学生時代には小学生を相手としたボランティア活動をしていた経験もあります。
幼い頃に自分に安心感を与えてくれた看護師さんのような存在になれるよう、貴院で精一杯精進していく所存です。
志望動機の作り方で押さえておきたいポイント
志望動機の作り方を実践する際に押さえておきたいポイントは、次の3つです。
- 記入欄は8割以上埋める
- 読みやすさを意識する
- 面接での深掘りを想定する
それぞれ詳しく解説します。
記入欄は8割以上埋める
志望動機の記入欄の広さは使用する履歴書によってさまざまですが、いずれの場合も8割以上埋めるようにしましょう。
空白が多いと、入社意欲や志望度が低いのではないかと疑われてしまいます。
文字数が足りない場合、情報に肉付けをして内容を膨らませましょう。
過去の挫折と解決のためにとった行動、その行動に至った背景やプロセスを説明するほか、数字や固有名詞を使って具体性を高めるテクニックなどがあります。
読みやすさを意識する
手書きで履歴書を作成する場合、志望動機の欄で精一杯アピールしようとした結果、小さな文字でびっしりと埋めてしまう方もいます。
しかし小さすぎる文字は読みにくく、採用担当者にマイナスな印象を与えかねません。
採用担当者は何枚もの履歴書に目を通すため、読みにくいもの、字が汚いものは読み飛ばされる可能性もあります。
志望動機の仕上がりが不安なら、ご家族や友人などの第三者にチェックしてもらいましょう。
読みやすさだけでなく、誤字脱字や内容の伝わりやすさも併せて確認してもらえます。
面接での深掘りを想定する
面接では、履歴書やエントリーシートに書いた志望動機の内容を深掘りされることがあります。
主張に一貫性があるかどうかを確認するとともに、志望度の高さを測ることが目的です。
志望動機の内容を暗記しておく必要はありませんが、いざ質問されたときに話が食い違わないよう注意しましょう。
また、あらかじめ想定される質問に対する回答を用意しておくのも手です。
例えば、次のような質問が予想できるでしょう。
私は将来的にプロジェクトのチームリーダーとなり、新規顧客獲得のために活躍できる中心的存在になりたいです。
また、私は学生時代にはプレゼンテーションサークルに所属しておりました。
そのとき培ったプレゼンスキルを活かしながら、入社後3年以内に営業成績1位をめざします。
サイバーセキュリティ業界の市場拡大は年々進んでおり、今後も規模は拡大すると考えています。
御社は競合のなかでも情報システム構築の最先端を進んでおられることから、成長性があると感じました。
面接で志望動機を聞かれたときの答え方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
志望動機の作り方を押さえて選考を突破しよう
企業は、志望動機から応募者の入社意欲や自社とのマッチ度を判断しています。
選考を左右する重要なポイントともいえるため、魅力的な志望動機の作り方をふまえたうえで丁寧に書き進めましょう。
志望動機を作成する前に、まず行うべきは自己分析と企業研究・業界研究です。
その企業を選んだ理由や入社後の活躍イメージを具体的にし、自分だからこそ書ける志望動機をめざしてみてください。
また、内容が魅力的であることと同時に、読みやすさも大切なポイントです。
うまくまとまらないときには、結論から書き始めるPREP法を意識してみましょう。