転職を検討する際に、正社員だけでなく非正社員として働く選択肢もあります。
雇用形態の選択肢が増えたときに、あらためて正社員のメリット・デメリットを整理したくなる方もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、正社員として働くメリットとデメリットを解説しています。
正社員での働き方が自身のライフスタイルに合っているのかどうかを確認したい方や、これから転職を検討している方は、参考にしてみてください。
目次
正社員として働くメリット
正社員として働く主なメリットは、以下のとおりです。
- 収入が安定している
- 福利厚生が充実している
- 社会保険が充実している
- 社会的信用が高い
- 教育制度が充実している
収入が安定している
正社員として働くメリットは、非正規社員よりも収入が高く、安定しており、しっかりとした生活の基盤を築けることです。
下表は、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」を参考に、正社員と非正規社員の、毎月の平均賃金を比較したものです。
年齢階級(歳) | 正社員賃金(千円) | 非正規社員賃金(千円) |
---|---|---|
〜19 | 185.0 | 170.1 |
20〜24 | 221.0 | 196.2 |
25〜29 | 255.9 | 212.3 |
30〜34 | 288.4 | 215.5 |
35〜39 | 323.5 | 213.3 |
40〜44 | 347.5 | 217.6 |
45〜49 | 366.3 | 212.8 |
50〜54 | 387.5 | 211.9 |
55〜59 | 396.2 | 216.7 |
60〜64 | 329.8 | 254.3 |
65〜69 | 296.6 | 220.9 |
70〜 | 272.9 | 200.0 |
年齢計 | 328.0 | 221.3 |
福利厚生が充実している
福利厚生が充実していることも、正社員のメリットとして挙げられます。
福利厚生とは、企業が従業員に支払う給与や賞与以外の報酬のことです。
企業によっても異なりますが、具体的には以下のような福利厚生があります。
- 住宅手当や家賃補助
- 社宅や独身寮
- 健康診断
- 慶弔や災害見舞金
- 運動施設や宿泊施設の割引
- 自己啓発支援
- リフレッシュ休暇
- 育児休業
正社員として働くほうが、会社から提供される福利厚生の恩恵をより多く受けられるでしょう。
社会保険が充実している
正社員として働くメリットに、社会保険が充実していることもあります。
社会保険には、健康保険や厚生年金保険、介護保険などが含まれており、保険料は労働者と会社が折半しているため、費用を抑えられることが特徴です。
社会保険は、条件を満たせば雇用形態を問わず加入することができますが、正社員のほうが条件を満たしやすく、加入率も高い傾向にあります。
令和元年の時点で、正社員の雇用保険加入率は92.7%(非正規社員は71.2%)、健康保険加入率は97.2%(非正規社員は62.7%)です。
また、正社員には以下のような給付金や手当も支給されます。
- 高額療養費
- 療養費
- 傷病手当金
- 出産育児一時金
- 出産手当金
- 埋葬料
- 付加給付
社会的信用が高い
正社員として働くと、社会的信用が高くなることもメリットです。
「社会的信用」とは、経済力や地位によって評価される信用の度合いのことで、信用度合いが高いとローンやクレジットカードの審査に通りやすい傾向にあります。
国土交通省が発表している令和4年度「民間住宅ローンの実態に関する調査」において、融資を行う際に考慮する項目で「雇用形態」との回答は71.6%であり、審査項目に雇用形態が含まれているのが現状です。
教育制度が充実している
正社員は、教育制度が充実していることもメリットです。
正社員は長期雇用を前提としているため、OJT(On the Job Training)や、OFF JT(Off The Job Training)といった教育研修を通して学ぶ機会も、非正規社員より多く与えられます。
厚生労働省が実施した令和4年度「能力開発基本調査」の結果によると、正社員と正社員以外にOFF JTを実施した事業所の割合は以下表のとおりです。
調査年度 | 「正社員」 に対してOFF JTを実施した 事業所の割合(%) |
「正社員以外」 に対してOFF JTを実施した 事業所の割合(%) |
---|---|---|
平成30年 | 75.7 | 40.4 |
令和元年 | 75.1 | 39.5 |
令和2年 | 68.8 | 29.2 |
令和3年 | 69.1 | 29.8 |
令和4年 | 70.4 | 29.6 |
正社員として働くデメリット
正社員として働くメリットがある一方で、デメリットもあります。
主なデメリットは以下のとおりです。
- 労働時間が長くなる傾向にある
- 異動・転勤の可能性がある
- 仕事への責任が増える
労働時間が長くなる傾向にある
正社員として働くデメリットは、労働時間が長くなる傾向にあることです。
任された役割を全うし、求められる結果を出すためには、残業や休日出勤を強いられることもあります。
また「みなし残業手当」が導入されている企業では、基本給に一定時間分の残業代が含まれており、残業が常態化している可能性もあるため、注意が必要です。
残業をしたくない方は、転職活動をする前に平均残業時間を確認しておきましょう。
異動・転勤の可能性がある
異動や転勤の可能性があることも、正社員のデメリットです。
希望の職種や勤務地で働けるのであれば良いですが、辞令によっては引越しをともなう転勤を命じられることもあります。
ご家族がいて持ち家の場合であれば、単身赴任をせざるを得ないケースもあるでしょう。
また、国内ならまだしも海外転勤の場合には生活を大きく変えなければならず、さらに負担が増す可能性が高まります。
仕事への責任が増える
正社員として働くと、仕事への責任が増すこともデメリットです。
勤続年数を重ねると後輩の指導を任されたり、ポジションが高まると当然ながら責任の範囲が広がったり、重くなったりします。
責任が増すことに対して、成長できる機会とポジティブにとらえられる方もいますが、ストレスやプレッシャーを感じて萎縮してしまう方も少なくありません。
萎縮してしまう方にとって、責任が増えることは働くうえでデメリットとなるでしょう。
正社員として働くメリット・デメリットを理解して働き方を考えよう
正社員として働くメリットには、収入の安定に加えて福利厚生や社会保険、教育制度の充実などが挙げられます。
一方で、長時間労働や転勤の可能性、仕事への責任が増えることなどがデメリットです。
自分のめざすライフスタイルの実現に向けて、正社員として働くメリット・デメリットを正しく理解してこれからの働き方を考えましょう。