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退職後の税金の支払いはどうなる?必要な手続きや注意点を解説

退職をしたあとは、税金や保険関係などさまざまな手続きが必要です。
会社員であれば所得税や住民税はもちろん、保険料なども給料から天引きされるため、今後どのように納めれば良いのか迷うかもしれません。
とはいえ、離職期間が1日でもある場合これらの手続きは必須となるため、放置しないようにしましょう。

この記事では、退職後に行う税金の手続き・注意点などを解説します。
次の会社に入社するタイミングや辞める時期によって必要な手続きは異なるため、参考にしてみてください。

退職後に行う税金の手続きは2種類

退職後に行う税金の手続きは、所得税と住民税の2種類です。
1年間の所得に対してかかる税金という点ではどちらも同じですが、課税方法や納税の時期に違いがあります。

所得税 所得に対して課される国税 ・現在の年の所得に課税
・確定申告で年税額を確定して納付
住民税 その地域に暮らす個人に対して課される地方税 ・前年の所得に応じて翌年に課税
・一括もしくは年4回に分けて納付

所得税はその年の1月から12月までの総所得で計算して納付するのに対し、住民税は翌年の6月頃に納税通知書が届き納付となります。
会社員の場合、これらは毎月給与から天引きされていましたが、退職後は自身で税金を納めなければいけないため注意が必要です。

退職後の税金の手続き|所得税

退職後の税金の手続き|所得税

次の会社へ入社するタイミングによって、所得税に関する手続き方法は異なります。

  • 年内に再就職をする
  • 翌年以降に入社する

それぞれ確認してみましょう。

年内に再就職:転職先で年末調整をする

会社を退職したその年に次の会社に入社した場合、転職先に源泉徴収票を提出しましょう。
源泉徴収票は、退職をした会社から受け取ります。

年内に再就職をすると、転職先の会社で年末調整を行ってくれるため、確定申告は原則不要です。
ただし、住宅ローン控除や医療費控除が適用されるケースでは確定申告をすることで税金を抑えられるため、忘れずに申告を行いましょう。

翌年以降に入社:自身で確定申告が必要

退職をした年内に再就職をしないときは、年末調整を行わないことになるため、自分自身で管轄内の税務署にて確定申告をする必要があります。
所得税は、1年間の総所得に対する課税額の概算を月割りで納めているため、収入がない期間の税金は還付を受けられるでしょう。
また、年内に再就職する場合と同様、医療費控除を受ける方やマイホームの購入・リフォームなどで住宅ローン控除の対象となっている方も、確定申告によって税金を抑えられます。

源泉徴収票は、確定申告書を作成する際に必要です。
退職後、手元に届いたらきちんと保管をしておいてください。

退職後の税金の手続き|住民税

退職後の税金の手続き|住民税

住民税は、1月から12月の1年間の所得にかかる税金を翌年に納めると上述しましたが、退職するタイミングによって手続きが異なります。

  • 1月~5月に退職
  • 6~12月に退職

それぞれの納付方法を解説します。
なお、転職先が決まっている場合は、手続きをすることで給与からの天引き(特別徴収)を継続できるので自分で納付する必要はありません。

1~5月に退職:最後の給与から天引き

5月までに退職する場合、退職する月の給与や退職金から一括で徴収されます。
そのため、最後の給与は手取りがいつもより少なくなることを想定しておきましょう。
例えば1月に退職する場合、当月分だけではなく5月分まで一括徴収されることになります。

給与から徴収しきれなかったときは、不足分を普通徴収として納めることになるでしょう。
普通徴収の場合は後日納付書が届くため、指定の金融機関や役所、コンビニエンスストアなどで支払います。

また、5月までの給与からの納付予定分は前々年度分の住民税になるため、転職をしない場合は6月から前年度分を自分で納付することになります。

6~12月に退職:退職後の支払い方を選択する

6月以降に退職した場合、一般的には退職月の翌月から翌年5月分までの住民税を自分で納付することになります。
退職後に納税通知書が届くため、記載されている金額を金融機関やコンビニエンスストアなどで支払いましょう。

また、退職月から翌年の5月までの税額を、最後の給与から一括で支払うことも可能です。
一括徴収を希望する場合は、退職する際に会社に相談してみてください。

前年の所得に応じて課税されるので注意

住民税は、前年の総所得に応じて翌年の6月から納付する仕組みです。
退職をしてから次の会社までブランクがある場合、収入がない期間にも納税義務は発生するため注意しましょう。

定年退職をしたケースも同じく、前年の所得に応じた住民税が発生します。
金額によっては大きな負担となることも予想されるため、必要に応じて分割納付を選択するのも一案です。

退職後の住民税の目安額は?

住民税の納付額は個人差が大きく、たとえ年収が同じでも一律ではありません。
これは、扶養家族や保険料の支払いの有無で課税所得が変わるためです。

独身・扶養家族なしの会社員で年収のみ異なる場合、1年間の住民税の目安額は次のようになっています。

年収 住民税
300万円 約12万円
500万円 約25万円
800万円 約45万円

あくまでも目安のため、具体的な金額は納税通知書やお住まいの地域の住民税額シミュレーションサイトを確認してみてください。

退職時に税金以外で必要な手続きは?

退職時に税金以外で必要な手続きは?

税金関連以外にも、退職後には以下2つの手続きが必要になります。

  • 年金と健康保険の切り替え
  • 失業保険の受給

すぐに転職するケースとしないケースで変わるため、自分に必要な手続きをあらかじめリストアップしておくと安心です。

年金と健康保険の切り替え

年金は、20歳以上60歳未満の国民であれば全員加入しなければなりません。
すぐに再就職する場合は、次の会社に年金手帳を提出します。
転職の期間が空くときには、お住まいの役所で年金の切り替え手続きを行ってください。

また健康保険も、就労状況問わず全国民に加入する義務が生じます。
次の会社への入社が1日でも空く場合は、年金と同じく健康保険の切り替えも必要です。
切り替え手続きが遅れてしまうと、本来加入していたはずの期間までさかのぼって健康保険料を支払わなければなりません。

失業保険の受給

再就職の意思はありながらも、すぐに就職しない場合は失業保険を受給できます。
離職する以前の2年間に、被保険者期間が通算12ヵ月以上あることが主な要件です。

なお、自己都合退職か会社都合退職でも給付要件は異なります。
下記の表は、自己都合退職のケースで、被保険者期間による失業保険の給付日数の違いをまとめたものです。

被保険者であった期間
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
区分 全年齢 90日 120日 150日

出典:ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数

会社都合退職の場合は、下記のようになります。

被保険者であった期間
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
区分 30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 150日 240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 150日 180日 210日 240日

出典:ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数

詳しい退職の手続きや流れなどは、下記の記事で解説しています。
併せてご参照ください。

退職時の税金に関してよくある疑問

退職時の税金に関してよくある疑問

退職金にも税金はかかるのか、税金が支払えないときはどうすれば良いかなど、退職後はお金に関する不安がつきものでしょう。
退職後の税金に関する疑問と併せて、支払いが難しい場合の対処法を紹介します。

退職金にも税金はかかる?

退職金にも所得税と住民税がかかることに加え、2037年までは復興特別所得税も課されます。
復興特別所得税とは、東日本大震災の復興を目的とした財政確保のための税金です。

退職金の受け取り方でこれらの税金の計算方法が変わるため、金額は一律ではありません。
また、退職金の金額によっては住民税がかからないケースもあります。
2022年に導入された「短期退職手当等」という制度も関係して、退職金に関する税制は以前より複雑化しました。

退職金にかかる税金の詳しい内容は、こちらの記事もご確認ください。

退職後の税金が支払えないときは免除してもらえる?

基本的に、住民税や所得税が免除・減税される制度はありません。
しかし、特別な事情がある場合や生活が困難なときは、申請をすると期間の猶予や免除・減税を認めてもらえることがあります。
なお、適用には審査があり、必ずしも申請が通るとは限りません。

とはいえ放置しておくと催促状が届き、差し押さえが実行される恐れもあります。
支払いが厳しいときは分割で納付することも可能なため、お住まいの市区町村へ一度相談しましょう。

会社を退職したら税金の手続きを忘れずに行おう

退職後には、所得税と住民税について手続きが必要となります。
所得税に関して、年内に再就職しない方であれば自身で確定申告が必要です。
住民税は離職した月によって今後の支払い方法が変わる点に注意しましょう。

なかでも住民税は前年の所得に応じて課税され、翌年から支払いが発生します。
離職期間に備えて、ある程度のお金を準備しておくと安心です。

離職期間がある場合には保険と年金の切り替え手続きも加わるため、慌ただしく感じるかもしれません。
必要な書類をリスト化するなどして、スムーズに手続きを進めましょう。

執筆者について

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